Japaaanではこれまでに、日本の国花「菊」の様々な品種を描いた「契花百菊」や、喜多川歌麿による昆虫図鑑「画本虫撰」、29種もの桜を写生した江戸時代の「桜花譜」など、江戸〜明治時代に刊行されたさまざまな図鑑を紹介してきましたが、今回紹介するのは、”日本で最初の植物図鑑”とも言われている貴重な書物「本草図譜(ほんぞうずふ)」です。
本草図譜は、江戸時代の文政11年(1828)に完成した植物図鑑で、当時、本草学者であった岩崎 灌園(いわさき かんえん)によって作成されました。同時代に作られた植物図鑑としては本草家の高木春山(たかぎしゅんざん)による「本草図説」も有名。
本草図譜は全96巻からなる植物図鑑で、約2,000種もの植物を分類し、彩色した絵を交えて紹介されています。96巻のうち出版されたのは5巻から10巻までのわずか6冊のみ。他の巻は希望者の分だけ原本を模写し配布したそうで、現存するものはとても希少なものとなります。
芸術的なものではなく図鑑として作られたものではありますが、植物の色彩が美しく、今見てもとても楽しめる作品となっています。植物の特徴をとらえているので、当時の学者たちは本草図譜を研究に役立てていたことでしょう。
本草図譜は国立国会図書館のデジタルコレクションや国立公文書館のデジタルアーカイブで無料で閲覧できます。国立国会図書館のデジタルコレクションには1巻〜4巻までが抜けていますが、1巻〜4巻は国立公文書館のデジタルアーカイブには掲載されていますので、全巻カバーできます。