力強いイメージのある戦国時代の武将たちですが、ちょっとしたエピソードから、人間臭さを感じ取ったり、ほっこりすることもあるかとおもいます。
戦国最強といわれた甲州の騎馬軍団を率いた武田信玄に関するエピソードがまさにそう。
生前は、「甲斐の虎」ともいわれ、織田信長もうかつに手出しができなかったといわれている武田信玄。多くの戦国武将たちは、「風林火山」と書かれた四文字の軍旗をみただけで、震え上がったと伝えられています。
ところが、江戸時代に松浦静山という人物によって書かれた随筆集『甲子夜話(かっしやわ)』には、そんな信玄にも苦手なものがあったといいます。
幼い頃から苦手でした…
信玄の苦手なもの、それはイモムシ。
信玄がまだ「太郎」と呼ばれていた幼いころから、イモムシだけはどうも苦手で、それは青年期を迎えて「晴信」と呼ばれるようになってからも克服できなかったようです。
信玄のそんな様子を見て、信玄の父・信虎の代より武田家に仕えている馬場信房という武将が、「御大将様がこんな虫けらを恐れているとは情けない」と立ち上がりました。信房は晴信より7歳上で、周囲からは剛勇と知られた武将。
信房は、信玄に弱点を克服させようと、大きなイモムシを「三宝」に乗せ、「手にとってご覧くださいませ」と迫ったそうです。