「塩」と聞くと、使う場面でまず思い浮かぶのは料理。他には、清める目的として、葬式や相撲の場面で使われることもあります。
では、「塩」だけでアートを描いたらどうなるのか?
世界で唯一の「塩の芸術家」
国内海外含め、30ヶ所以上の個展、40ヶ所以上のグループ展で作品を創ってきた、世界で唯一の「塩の芸術家」と言われる人物、山本基(やまもともとい)さん。
使われている材料は、塩のみ。
例えば、「迷宮」と名付けられたこちらの17.3m×13mもの巨大な作品では、250kg近くの塩が使われています。
制作時間は、約120時間。毎日10〜20時間の作業を15日間繰り返したそう。
一つ一つのラインを手作業で丁寧に描いていきます。
とにかく、繊細で根気のいる創作作業です。
なぜ”塩”なのか?
きっかけは、16年ほど前に脳腫瘍で亡くなった妹の死。
これをどうにか乗り越えるために、ガラスやコンクリートを使って作品を創っていたそうです。それがふとしたときに、葬式で使われてた”塩”を使うことを思いついたとか。
きっとどこかで巡り戻ってくる
山本さんの作品は、その場限りで終わってしまう一時的なアート。展示が終わると、作品に使った塩を海に戻します。
この”塩”が巡り巡って、色々な形で自分に戻ってくるかもしれない。
この「循環」するような形を山本さんは大切にしていて、これが「死」「生命」というものを表現しているのかもしれません。
現在は、広島県立美術館で10月中旬まで作品が展示されているようですので、お近くの方はぜひ実際に体感してみてください。
【アート・アーチ・ひろしま2013】 ピース・ミーツ・アート!
最終日の10月14日は塩を海に戻す「海に還るプロジェクト」にも先着で参加できるようなので、希望の方はお早めにっ!
山本さんのインタビュー動画もどうぞっ!(3分21秒)