いつの世でも恥ずかしいのが「おなら」。少し気の緩んだときに「プッ」と出てしまうほど恥ずかしいことはありません。まして、おならをした人が殿様や大名の婦女のような身分の高い女性だったらなおのこと。
江戸時代、見合いなどの席でおならをしたことによって自殺をしたり引きこもってしまった女性が後を絶たなかったそうです。当時の女性にとって、おならはまさに「死活問題」でした。
そこで登場したのが、「屁負比丘尼」といわれる職業の尼僧。平時は身分の高い奥方や娘につき添い、雑用係としてふるまいますが、彼女たちがおならをしてしまったら「私がいたしました」と謝ったり、恥ずかしそうに振舞うのがそのミッション。
屁負比丘尼は、「科負(とがおい)比丘尼」とも呼ばれており、おなら以外にも女性がした過失や、はしたないおこないの一切を引き受け、自分のことだとしたようです。