最近、学校で給食のとき「いただきます」「ごちそうさま」を言わせることに対して、クレームをつける親御さんがいらっしゃるそうで。何でも「ウチはきちんと給食費を払っているのだから……」とのことで、お話を伺ってみると、どうやら「いただきます」「ごちそうさま」という言葉を、
「誰かにおごってもらった=自分がおカネを出していない時、おごってくれた相手に対して使うもの」
だと思っている節があることに気づきました。だから、自分がおカネを出している時は誰にも気がねすることなく、堂々と食べていい。
……いえいえ、そういうことではないのです。
今回は食事の前と後に言う「いただきます」「ごちそうさま」という言葉のもつ、本来の意味について紹介したいと思います。
あなたは何を「いただきます」か?
まず、食事の前に言う「いただきます」は、誰から何をいただくのでしょうか。
「そりゃ、おごってくれた人から食事をいただくんでしょ?」
そんな答えもありましたが、それはあくまでもおまけに過ぎず、ここで大切なのは、あなたと食べ物の関係性です。あなたが口にする食べ物は、どれ一つとして例外なく「かつて生きていたもの」です。
あなたがその手で「殺したか」否かはともかく、あなたが何かを食べるとき、その何かは「あなたのために」殺されています。つまり、あなたがいつもいただいているのは「命」に他なりません。
ですから、あなたが何かを食べる時は、誰がおカネを出そうと出すまいと、誰がいようといまいと、あなたが食べようとしている命と向き合い「いただきます」と言うのが正しい在り方です。
もちろん、おごってくれたお礼も言うべきですが、まとめて「いただきます」と言うにしても、それぞれに気持ちが向けられていることが大切です。