各地に伝説がある「雪女」とはそもそも何?
『雪女』とは、日本各地でそれぞれ「ユキムスメ」「ユキオナゴ」「雪女郎」「ユキアネサ」「雪オンバ」「雪ンバ」「雪降り婆」などの呼称で知られる空想上の妖怪です。
その姿は「死」を表す白装束を身に付けた美女で、男に冷たい息を吹きかけたり、男の精を吸いつくたりして殺すという、実に恐ろしい妖怪です。
現在のギリシャ出身の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)による怪奇文学作品集『怪談』に収録された『雪女』の話は、同作品中で最も有名な作品の1つです。
元々『怪談』は、八雲が妻の節子から聞いた日本各地の怪談・奇談・幽霊話などを、八雲独自の解釈も交えて再編成し、まとめたものでしたが、『雪女』のストーリーもまた、各地に伝わる伝説にヒントを得ているといわれています。
そこには「山の『掟』を破った人間に、山の『神』的な存在が罰を下す」という含みがあるのでしょう。
巳之吉との2度出会った「雪女」
さて、小泉八雲の『雪女』は、「武蔵の国の西多摩郡調布村の百姓が語った話」とのこと。実際にこの地域には似たような民話が伝説として伝わっており、青梅市上長渕の「調布橋」の傍には「雪おんな縁の地」の碑が立てられています。