江戸時代の絵師たちの代表作というと、錦絵と呼ばれる多色刷りの木版画作品や肉筆浮世絵が筆頭に上がりますが、絵師たちはその他にも小説の挿絵や指南書なども積極的に手がけていました。
特に画法などを解説した指南書(画譜、略式画 など)は、絵師たちの当時のノウハウを把握する資料でもあり、スケッチのようなラフなスタイルの作品が多いので、錦絵とはまたちがった魅力があります。代表的なものとしては葛飾北斎の北斎漫画など。
今回は、江戸時代〜明治時代に活躍した絵師たちが手がけたスケッチ画をまとめて紹介したいと思います。ラフなタッチの作品が多いので可愛らしさも感じられて親近感が湧いてくるものばかりです!
葛飾北斎「略画早指南」
人気絵師 葛飾北斎による指南書。「略画早指南」は前編・後編の2巻からなる作品で、タイトルに指南という言葉が付いていることからわかるように、現代でいう絵描きのハウツー本といった内容になっています。
葛飾北斎 「伝神開手 一筆画譜」
こちらも北斎の指南書。人物や動物を一筆で描く方法を指南したスケッチ集。武士や子供、亀、鳥、猫、鼠などなど、一筆書きで描かれています。
歌川広重 「浮世画譜」
風景画を得意とした歌川広重による指南書。猫ちゃんがめちゃくちゃ可愛いです。歌川広重によるスケッチ画集というのはなかなか珍しいのではないでしょうか。渓斎英泉と歌川広重による合作の巻もあります。
一需斎/其春 等「諸職人物画譜」
は江戸時代の様々な職業の仕事風景が所狭しと描かれた作品で、仕事風景の他にも庶民の何気ない暮らしぶりが豊富に収録されています。