自殺未遂で心を病んだ西郷隆盛が愛した流刑地の妻、愛加那 [後編]

小山 桜子

今回は前編に引き続き、未だ謎の多い西郷の遠島時代の妻、愛加那(あいかな)についてご紹介します。

自殺未遂で心を病んだ西郷隆盛が愛した流刑地の妻、愛加那 [前編]

西郷隆盛の妻は3人居りました。[insert_post id=154266]最も有名なのは3人目の妻である糸子(イト)ですが、西郷が彼女と結ばれる前に潜居していた奄美大島に滞在していた…

子供との別れ、そして晩年

奄美大島に戻り、女手ひとつで2人の子を育てていた愛加那ですが、数年後、ついに約束の時がやってきます。息子の菊次郎が9歳の時、西郷が新しく娶った本妻・糸子のいる鹿児島本土の家に引き取られていったのです。愛加那は覚悟の上とはいえ、女性として、母として複雑な心境だった事でしょう。そして数年後には菊次郎の妹・菊草も同じように糸子の住む家に引き取られていくのです。

菊次郎はその後幾度か奄美大島に滞在する機会があり、愛加那は息子と再会する事が叶いましたが、娘の菊草とは、島を出たきり今生の別れとなりました。時に愛加那40歳、菊草14歳。

子供たちが本土へ行ってしまった後も、愛加那は本土渡航をする事なく、奄美大島で西郷に建ててもらった家を大切に守っていました。西郷亡き後も再婚はせず、屋敷の庭に西郷南洲謫居跡の石碑を建てた際には式典に参加するなど、晩年も西郷を思い続けました。
明るく気丈な女性で、1人になった寂しさにも負けず、66歳で亡くなる直前まで畑で元気に働いていたと伝わります。

3ページ目 子供たちのその後

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