ここに、明治時代初期の市井の風景を描いた一枚の絵があります。飴屋が葦の茎の先に溶かした飴をつけてぷうっと膨らませる、赤ん坊を背負った子供たちが目をきらきらさせてそれを見ている・・・なんとも微笑ましい光景です。え、写真にしか見えないって?そうでしょう。でもこの作品は、絵なんです。信じられないほどに精緻ですよね。この絵を描いた天才の名は、ロバート・フレデリック・ブルーム。1800年代末頃に活躍したアメリカの画家です。
1890年に33歳で初来日したロバートが、2年以上日本に滞在して描いた数々の絵を見ながら、明治初期の日本にタイムトリップしてみましょう。
さて、先ほどの飴屋の隣で商売するのは、ご維新の頃に流行りだしたゴム風船売りのおじちゃん。「たまだこ〜、たまだこ〜」と声を張ります。風船は丸い凧という意味で、球凧(たまだこ)と呼ばれていました。
こちらは一服している花売りの兄さん。これでもかというほど、籠の中は菊花であふれています。時代は変わっても、江戸の菊好きは変わらなかったようです。
菊見、菊酒、菊人形…。江戸時代、秋の花と言えば江戸っ子好みの華やかな「菊」
江戸の秋を彩った花江戸時代、秋の花と言えば菊でした。大川(隅田川)沿いの向島の新梅屋敷(現・向島百花園)の萩ももちろん風流で可愛らしいけれど、江戸っ子好みの華やかなのはやっぱり菊。9月9日…
わあ、なんて見事な桜の花。女性の顔も花明かりに照らされてほんのり桜色です。
こちらの芸者さんは身支度の最中。ルノワールの絵のように美しい玉の肌を、天才ロバートはチョークのようなパステルだけで描いたというから驚きです。
ロバートが描かずにはいられなかった魅力的な娘さん。素朴な姿ながら、自分が美しい事をちゃんと知っているという感じがします。
2ページ目 まだまだあります、江戸の匂いが色濃く残る明治時代