岡田以蔵。
「人斬り以蔵」とも呼ばれる彼は、幕末四大人斬りの一人です。土佐藩の武市瑞山(半平太)率いる土佐勤王党の走狗となり、文久二年頃から「天誅」と称して安政の大獄に関与した人物等を次々と襲い、京の町に血の雨を降らせました。その所業は、仲間たちからも「天誅の名人」と恐れられたほどです。
そんな異名に反して、彼が人生の最期に詠んだ句が、あまりにもピュアで切ないのです。
それが、こちら。
「君がため 尽す心は 水の泡 消えにし後は 澄み渡る空」
なんて綺麗な句でしょうか!
人斬りが詠んだ句とはとても思えません。人斬り以蔵にいったい何があったのか。まさか、失恋?!・・・いいえ、違います。実はこの句は、彼の剣術の師匠、武市瑞山に向けて詠んだ句なのです。
4ページ目 以蔵にとっては「全て」。土佐藩士・武市瑞山の存在