昔も今も野暮な男性は、女性から好かれないもの。江戸時代も、スッキリした気性や貧乏ったらしくない身なりはもちろんのこと、「粋」であることが求められました。
「粋」と「月」
関西では、「粋」のことを「水」と書いていたそう。水のようにあっさりしている、という意味ですね。一方、野暮なことを「月」といい、ガチと読んでいました。遊郭で「ガチな客がきた」というのは、野暮な客が来たという意味になります。お金をどーんと出すわけでなくケチケチとしてるのに、少しでも長く遊女と時間を過ごそうとしたりと、下心がミエミエの客とでもいいましょうか。または、必死な感じで今でいうイタい感じを表します。
「月」な客って?
遊女が別の男性と一緒にいるのにかかわらず、突然入りこんできて無茶な注文をしたり、遊女に嫌われる「月」なお客は少なくなかったようです。お客が帰ってから、遊女同士で「またあの人きてたの?」なんて話題になっていたのかも。
あまりにも無粋なお客には、遊女が座を立ってしまったり、「帰ってくれ」、「嫌われても結構来てくれなくてよろしい」と毅然とした態度をとることもあったそう。本当に大事なお客には、帰ってくれなんて絶対に言わないはず。
粋なふるまいは、床の中でも必要でした。遊女が横になったから、いきなりことを始めようとする客は月。後ろからそっとくっついて横になって、布団の中で足をからませながら、遊女の気持ちが盛り上がるような言葉がけができる客が、粋だねと言われたようです。