『いい加減わかれよ！このべらぼうが！｣』
歌麿（染谷将太）が、蔦重（横浜流星）のもとに戻ってきました。
大河べらぼう第46回『曽我祭の変』では、蔦重（横浜流星）と決別したはずの歌麿が、てい（橋本愛）の懸命な後押しで耕書堂へと戻ってきました。
「写楽プロジェクト」誕生に賭けるチーム蔦重が作風に悩んでいたところに、歌麿が参加し、いよいよ「役者の大首絵」が完成した回でした。
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写楽という謎の絵師は“一人ではなくチームだった”という展開から、次は戯作者たちが芝居のどの場面を描くか選択し、複数の絵師のパーツを集め完成する……というストーリー展開となり、「べらぼう」ならではのまさに「そうきたか！」でしたね。
絵師に本物の役者を写生させた蔦重の企み、手助けする地本問屋の主・鶴屋喜右衛門（風間俊介）、嬉々として作業に励むチーム蔦重、まとめあげる歌麿の手腕、そして嬉しそうに「東洲斎」と名付ける松平定信（井上裕貴）。さらに始まった「曽我祭りの変」。
残り2回にもかかわらず、ここに来てさらにミステリー要素が増した「べらぼう」。ますます面白い展開となった46回を、「写楽完成」と「毒まんじゅう」を中心に考察してみます。
「べらぼう」な蔦重が好きで“尽くしてきた人々”
歌麿は、「この人（てい）が出家したいって言ってきた」と言います。「なんで？」と問う蔦重にドスの効いた声で
「好きだからさ。あんたを好きで、あんたのために仏のご加護を欲しいんだってさ……なんべんもおていさんに同じことさせんなよ！
世の中、好かれたくて役立ちたくててめぇを投げ出すやつがいんだよ。そういう尽くし方をしちまう奴がいんだよ！いい加減分かれよ！このべらぼうが！｣
ていのことを言いながらも、今まで胸に秘めていた自分の想いを渾身の勢いでぶつけた歌麿でした。
初回から今までずっと「べらぼう」な生き方をしてきた蔦重。天才的なひらめきの持ち主で「こうと決めたらつっぱしる」行動で周りを巻き込んでしまう。けれども、困難や辛いことにぶつかっても「できるだけいい方に考える」ポジティブパワーで、平賀源内から教わった「書を持って世を耕す」を胸に、絶対に立ち止まらずに行動してきました。思い返せば、そんな蔦重の「べらぼうさ」に惹かれる人はたくさん。
“”大好きな蔦重のためてめぇを投げだすやつ”……といえば、やはり瀬川（小芝風花）。鳥山検校（市原隼人）と別れ晴れて一緒になれたのに「身請けをされた自分が、惚れた男と一緒になって幸せになることなど周囲が納得しまい。蔦重が営む本屋の経営に悪影響を及ぼす」と、自ら身を引いて姿を消してしまいました。
そして、刺されそうになった蔦重の前に身を投げだし守った小田新之助（井之脇海）も。田沼贔屓の蔦重とは意見が合わない部分もありましたが長い付き合いでした。自分たちを助けて支えてくれた蔦重には感謝をしていたのでしょう。
母親の愛人だった浪人に脅されていた幼い頃の唐丸（渡邉斗翔）も、自分の存在が蔦重に迷惑がかかるからと、浪人に体当たりをして川に身投げをしました。
そして、歌麿。地獄から救い出してくれた蔦重に対しては感謝以上の気持ちを持ち、ずっと “好かれたくて役立ちたくて、てめぇを投げ出す”ことをしてきましたね。もちろん妻のていも。
こうと決めたら突っ走って周囲を鑑みないところのある蔦重ですが、変わることなく“自分で決めた自分の生き方を貫く”姿勢は、惹かれるものがあります。だから、多くの人が集まってくるのではないでしょうか。
