血で血を洗う戦国時代、命のやりとりは何も戦場に限りませんでした。
例えば寝ている隙を襲われたり、酔っ払った隙を狙われたり、挙げ句の果てには妻妾との同衾中……他にも食事に毒を盛られたなどの事例も少なくないようです。
常に命を落とす危険と背中合わせだったようですが、ただ黙って毒を盛られる訳にはいきません。
そこで今回は、食事に盛られた毒を見抜く方法について紹介します。
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息を吹いたり、汁に浸したり……
……飯ニ毒の入るかと思ふ時ハ飯ニワツト我息をシカケテ見レハ其飯別黄色ナル然レバ毒入ルト思フ也飯ノ汁毒入ルト思フ時ハ則ハシノサキニ其汁ヲ付テ我爪ノ上ニ置テ見ル其汁則ヒルハ毒有リ則カハカヌハ毒ナシ……
……毒ノ入タル膳をスユル者ノ眼ヲミルニ涙ソム事有リ然クハ此膳ニハ毒有リト覚悟スル也其膳スユル者毒ノ入ル事ヲ知ルモ知ヌモ眼ノ様同之……
※『永正九年日々記』
【意訳】食事に毒が入っていると思った時は、料理に自分の息を吹きかけてみるとよい。料理が黄色く変わったならば、毒が入っていると思った方がよかろう。次に汁物があやしいと感じた時は、箸で米粒を少しつまみ、汁の中にひたしてから自分の爪に乗せてみるとよい。米粒がすぐに乾いたら毒入り、湿ったままなら安全である。
また配膳者の顔色を見るのも一つの方法だ。自分の料理が毒入りと知っている配膳者は、眼が涙でうるんでいることがある。そのような場合は、その料理に毒が入っていることを覚悟せねばならない。配膳者が毒の有無を知っているか否かは、その眼を見れば判るだろう。
……ということでした。
ところで、なぜ息を吹きかけると黄色くなったり、米粒が濡れなくなったりするのでしょうか。
戦国時代に毒として用いられていたものについて、これら現象との因果関係の調査を進めていきました。
