江戸っ子の物持ちの良さ
飲食以外で、江戸時代に発達したものとして修理屋やリサイクル業が挙げられます。
江戸時代の人たちは、使えなくなったものをすぐには捨てませんでした。
例えば、瀬戸物が欠けても上手にくっつけて再利用していました。鍋や釜といった金物類は、壊れた部分はハンダや銅などで修理もしていました。
木や布、紙でできたものも彼らは直して使います。
江戸っ子の代表的な履き物である下駄も、鼻緒が切れたら布やひもで代用し、歯がすり減ったら新しいものに交換して使い続けていました。
寺子屋あるいは手習所で使用した教科書は丈夫な和紙でつくられており、100年以上使ったという記録もあります。
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繁盛した修理屋
そんな感じで皆が再利用していたので、修理を仕事とする職人も少なくありませんでした。
割れたり、欠けた茶碗や皿をくっつける焼きつぎ屋は18世紀末から存在しており、彼らの台頭によって食器を売る瀬戸物屋の売上が減ったともいわれています。
下駄を直す職人は木ヅチやカンナ、ノミなどを箱に入れて持ち歩き、注文が入るとその場で作業を行いました。
鍋や釜を直す鋳かけ屋も道具を持ち歩き、その場で壊れた箇所に金属を流し込んで修理したといいます。
ほかにも、破れた傘や提灯を張り替える張り替え屋、刃物を研ぐ研ぎ屋など、江戸時代にはさまざまな職人が活躍していました。
現代なら、新しいものが売れないと経済停滞の一因となりますが、江戸には壊れたものを修復するための雇用があったので、リユース文化が維持できたのです。
