2024年度から新一万円札の肖像に採用された「渋沢栄一(しぶさわえいいち)」。2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」では主人公としてその生涯が描かれ、より多くの人に知られるきっかけにもなりました。
そんな渋沢栄一ですが、実は幕末の京都の志士達を震え上がらせた「新選組」と縁があったのです。ちょっと意外ですよね。
今回は渋沢栄一と新選組の意外な縁について紹介します。
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渋沢栄一が新選組と関わった背景
渋沢栄一は農民の生まれで、子どもの頃から学問を良く学び、商業の才能もありました。25歳の時、交流のあった一橋家の家臣である平岡円四郎に推挙され、一橋慶喜(後の徳川慶喜)の家臣となり武士になります。
その5年後には、一橋慶喜が将軍となり、家臣の渋沢栄一も幕臣となります。新選組と関わったのは、幕臣となって陸軍奉行支配調役という役目についていた時です。その時渋沢は、拠点を京都に移していて、これが新選組と関わるきっかけになりました。
渋沢栄一が武士になり幕臣となって大出世を遂げ、新選組と関わることになるなんて……、運命とはわからないものですね。
なぜ渋沢栄一と新選組が関わったのか?
その頃の京都では「元京都見廻組の大沢源次郎が謀反を企てている」といううわさが流れていました。「京都見廻組」とは、京都の治安維持のために組織された幕臣です。
そこで、組頭の森心十郎から渋沢栄一に大沢源次郎の捕縛を命じられ、その護衛として新選組が付けられたのです。新選組の主な任務は、京都の不逞浪士の取り締まりで、命がけの戦いを最前線ですることも多く、腕におぼえのある隊士がたくさんいる剣客集団でした。
大沢の捕縛に向かう前に渋沢の護衛を受け持つ新選組と打合せをすることになり、局長の近藤勇(こんどういさみ)と対面することになるのです。渋沢は、近藤と対面した時の印象を
「世間の人から見ると無鉄砲な猪武者のように誤解されているけれど、会ってみると意外にも温厚な人物で、物事がよくわかる人」
と語っています。新選組の世間の印象と実際は違っていたことがよくわかります。
渋沢は、その時近藤から「本来なら私が同行するところなのですが、所用のため副長の土方歳三(ひじかたとしぞう)を同行させます」と告げられます。渋沢は鬼副長土方とも会うことになったのです。
