いづれの御時(おおんとき)にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。……
【意訳】いつのころであろうか。多くの女御や更衣がお仕えしている内裏に、家柄はよくないものの、帝より格別のご寵愛を受けている女性がいた……。
※紫式部『源氏物語』第一帖「桐壺」より。
藤原道長(柄本佑)の頼みを受けて「カササギ語り」に代わる物語を上梓したまひろ(紫式部。吉高由里子)。果たして一条天皇(塩野瑛久)の関心を惹けるでしょうか……?
NHK大河ドラマ「光る君へ」第31回放送「月の下で」。時間的には寛弘元年(1004年)から大して時は経っておらず、『源氏物語』が世に出るキッカケが中心に描かれていました。
それでは今週も、気になるトピックを振り返っていきましょう!
藤原斉信と藤原公任の出世レースは?
年下の藤原斉信(金田哲)に先を越されてしまい、ご機嫌斜めな藤原公任(町田啓太)。
その後二人の出世レースがどうなるのか、予習を兼ねて見てみましょう。
【斉信の位階】
寛弘元年(1004年) 従二位
寛弘5年(1008年) 正二位(極位)
【公任の位階】
寛弘2年(1005年) 従二位
寛弘9年(1012年) 正二位(極位)
※極位(ごくい、きょくい)とは、その人の生涯における最高位。
早くから積極的に道長へ取り入っていた斉信と、元は対立関係にあった公任で差がついてしまうのは当然と言えます。
ちなみに極官(ごくかん、ごっかん)はその人の生涯における最高官職。せっかくだからこちらも比べてみましょう。
【斉信の官職】大納言(だいなごん)
【公任の官職】権大納言(ごんのだいなごん)
こちらは最後まで追いつけず、員数外の「権」大納言どまりとなりました(普通の人々からすれば、雲の上の存在ですが……)。
それでも和歌や漢詩・管弦において才能を発揮し、高い名声を勝ち取った公任の存在は、千年の歳月を越えて人々から尊敬を集めています。