NHK大河ドラマ「光る君へ」皆さんも観ていますか?筆者も毎週楽しみにしています。
一条天皇の治世下において活躍した4人・一条朝の四納言(しなごん)に数えられた藤原公任(きんとう)。
劇中では町田啓太がクールで野心的なキャラクターを演じていますね。
ハンサムな貴公子として活躍した公任ですが、恋においては世の習いにもれず、フラれてしまうこともありました。
今回はそんな公任が詠んだ負け惜しみの和歌を一首紹介したいと思います。
※合わせて読みたい!:まるで呪文じゃないか!平安貴族・藤原公任の明らかに長すぎる肩書と絶えない苦労【光る君へ】
アナタ外国人デスカ!?公任の負け惜しみ
おほつかな うるまの島の 人なれや
わかことのはを しらぬかほなる※『千載和歌集』第10巻・1657
【意訳】おぼつかず残念なことだ。もしかして貴女はうるまの島から来た人なのだろうか。私から贈られた言葉=和歌に知らぬ顔するなんて……。
歌中に詠まれる「うるまの島」とは現代の鬱陵島(うつりょうとう/ウルルンド)。日本海に浮かぶ韓国の島ですね。
藤原行成の日記『権記』などによると寛弘元年(1004年)に新羅国(※)迂陵島の人が因幡国に漂着しました。因幡国とは現代の鳥取県にあたります。
(※)ちなみにこの時点で新羅国は既に滅亡しており、朝鮮半島は高麗国が支配していました。ただし日本の人々は朝鮮半島の王朝について何となく新羅と呼んでいたようです。
当然ながら日本人とは言葉が通じず、未知との遭遇が話題になっていたのでした。
転じて言葉の通じない≒話しの分からない人を「うるまの人」と呼んだかどうだか、きっとそんなこともあったのでしょう。
「私が詠んだ和歌に返歌すらよこさないなんて……きっと彼女は言葉の通じないうるまの人に違いない」
「でなければ私から贈られた和歌を無視するなんてもったいないこと、できる訳がないではないか」
そうだそうだ、きっとそうに違いない……フラれてしまった悲しみと悔しさを、自らそう慰めたのではないでしょうか。