現代社会で使える武士道!江戸時代の武士道教本『葉隠』より、主君に応じた忠義の使い分けノウハウ

主君に対して忠義を尽くすのは、臣下として当然のことです。

しかし、忠義の尽くし方は一様ではなく、主君の性質に応じて使い分けるべきという考えもあります。

今回は江戸時代の武士道教本『葉隠(葉隠聞書)』より、こんな教訓を紹介。現代社会でも、応用がきくのではないでしょうか。

2種類の主君に合わせた忠義の使い分け

一二  内気に陽気なる御主人は随分誉め候て、御用に越度なき様に調へて上げ申す筈なり。御気を育て申す所なり。さて又、御気勝、御発明なる御主人は、ちと、御心置かれ候様に仕懸け、この事を彼者承り候はば何とか存ずべしと思召さるる者になり候事、大忠節なり。斯様の者一人もこれなき時は、御家中御見こなし、皆手揉と思召され、御高慢出来申し候。上下に依らず、何程善事をなし候ても、高慢にて打ち崩すなり。右のあたり眼のつく人なきものなり。……

※『葉隠聞書』第二巻より

【意訳】やさしくて気性のおだやかな主君に仕える時は、何かにつけてお誉め申し上げ、お勤めに失敗のないよう気配りをして差し上げなさい。その積み重ねが、主君の自信につながるからです。

一方で、勝ち気でキレ者の主君に仕える時は、一目置かれる油断ならぬ者として接しなさい。敬意は十分もちながらもある種の緊張感を絶やさぬようにすることです。そうすると、主君は事あるにつけ「あの者に聞かせたら、何と言うだろうか」と心に留めるようになるでしょう。これこそが大いなる忠義というものです。

3ページ目 もし、そういう存在がいないと……

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了