みなが当たり前のように使っているランドセル。考えてみれば法律で決まっているわけでもないのに、なぜランドセルを使うのでしょう。もっと軽いリュックや、布製のショルダーバッグでもいいですよね。
実はランドセルはオランダ語なのです(ちなみにリュックもオランダ語です)。ランドセルは軍隊の背嚢(はいのう)のことで、明治時代に日本に入ってきて、陸軍で導入されました。
高野長英が『三兵答古知幾(さんぺいたくちき)』(1856)で「革筪」を「ランドセル」と訳しています。
ではなぜ戦争や軍隊で使われていた物が、子どもの通学鞄として普及したのでしょうか。子供の持つものに軍備品というのはちょっと似つかわしくないですよね。
実は学習院での使用が最初で、明治18年(1885)の5月から、学用品携行のために背嚢を採用したとあります。学習院はそもそもは京都にできた公家の子供たちの教育機関で、後に東京に設けられました。現在でも皇族が通う学校として有名ですよね。
当時の学習院の院長は、2代目の「谷干城」(たにたてき)でした。谷干城といえば土佐藩の勤皇派で板垣退助の片腕とされ、明治維新後は軍の強化に取り組んだ人物。
陸軍に取り入れられていた背嚢を教育現場にも、と思ったことは自然な流れだったのだろうと思います。