よく時代劇にも登場する通称「下女」。武家のみならず商家などでも、おつかい、掃除、料理、様々な雑用をする女性たちですが、当たり前のように存在が描かれているものの、彼らはいつどのように使える場所を決めているの?…と思ったことはありませんか?
様々あった江戸の女性の仕事ですが、最も多くの女性が就いたのが奉公先で下働きをする「下女」と呼ばれる仕事でした。江戸の町には武家屋敷や大店が集まっていたため、下働きの需要はかなりありました。
その仕事の内容が炊事・掃除・主人の使いなど専門知識は必要とされなかったことから、多くの女性たちが就くことが出来ました。
下女として働くためには、まず「口入屋」という斡旋業者のもとに行き、奉公先を紹介してもらいます。女性たちは口入屋から紹介された家に行き労働条件を確認して、一日その家での仕事を体験します。
その際に彼女たちが必ずしたのが食事を試食すること。主人が彼女たちの料理を食べるわけではなく、派遣される女性が派遣先の料理を食べるなんて意外ですね!
それもそのはず、下女は基本的な雇用形態が「賄い付きの住み込み」だったため、その家の食事は非常に重要でした。
そして自分が食事を作る役割で雇われるとしたならば、その家の食材や使用する量によって働きづらくなることもあったため、気に入らなければ断ることもあったとか。
雇い主も気に入れば翌日から住み込みで働き始め、10日ほど経ったら「請状」という契約書を取り交わして、ようやく本採用となったのでした。
現在の派遣制度と、大筋はほとんど同じですね。