「年末宝くじ」の登場
私たちにとってなじみ深い年末ジャンボ宝くじですが、発売されたばかりの頃、全国的な大混乱があったことはあまり知られていません。
当時のことを覚えていても、もう50年も前のことなので忘れかけているという人も多いのではないでしょうか。今回は当時の出来事を振り返ってみたいと思います。
※こちらの記事も合わせて読みたい
今も昔も庶民の夢!江戸時代、人気を博した「富くじ」「富興業」とは?
みなさんは、「富(とみ)くじ」や「富興業(とみこうぎょう)」という言葉を聞いたことがありますか?江戸時代、人気を博した「富くじ」。そしてそれを催し、人々の行楽スポットとなった「富興業」。今回は…
1976(昭和49)年から1975(昭和50)年にかけて、世界経済は戦後最も深刻な不況に陥りました。
もともと世界的にも低成長・安定成長時代への移行が進んでいたところへ、石油危機が拍車をかけた形でした。
一方、日本は1976(昭和51)年の日本は不況からの脱出の年として、崩壊した経済体制の立て直しがはかられます。それでも一気に回復するはずがなく、同年の負債1000万円以上の企業倒産件数は1万5641件、負債総額は2兆265億円とそれまでの最高記録を更新するなど、日本経済は戦後最大の苦難を味わうことになりました。
そんな時代だった1976(昭和51)年12月21日のこと。この日は、一等が1000万円の宝くじの発売日でした。「1等1000万円40本、あなたも1千万円長者にチャレンジしてみませんか」を謳い文句に、全国7300カ所の発売所で一斉にくじが売り出されたのです。
ちなみに当時はまだ「ジャンボ」の名称はついておらず、特別くじと呼ばれていたようです。
不況の年の瀬に、庶民に明るい夢と希望をもたらす宝くじ。……のはずでしたが、実際にもたらしたのは予想外の大混乱でした。全国各地の売り場に群集が殺到し、死傷者まで出たのです。