友人は人生の財産とはよく言われることですが、それを神様の前で選んでしまうという一風変わった興味深い風習が、かつて山形県の鶴岡市の一部に伝わっています。「ケヤキキョウダイ」といわれています。
「ケヤキ」とは、「契約」のこと。つまり、血縁関係のないもの同士が姉妹の契りを交わす、ということで、対象は女性だけ。どういうわけか兄と弟という男同士のものは存在しません。
流れとしては以下のようになります。
1,まず、毎年暮れの差し迫った時期に、地元に住む数え十三歳の女の子が同地にある大阪神社に集められます。
2,そして、わらを二つに折った籤を引き、同じわらを引いたもの同士が「パートナー」となります。
これが「ケヤキキョウダイ」になるわけですが、この決定が、後の彼女たちの一生涯に関わることになっていきます。
二人は神の前で姉妹となったわけなので、とにかく何をするにも連帯責任、仲良くしていくことになります。その最初の一歩として、この年から三年間、大晦日の夜にともに断食をして、ひとつの布団で寝るという儀式から始まります。
その後、二人の関係は冠婚葬祭のたびにクローズアップされていくことになります。例えば、一方の結婚式の場では、もう一方は実の兄弟姉妹よりも上座に座る。
ケヤキキョウダイの関係は神様によって選ばれた関係だからこそ、血のつながりより濃いとされているのです。