NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、3月20日(日)放送の第11回は「許されざる嘘」。何だか穏やかでないタイトルですが……その理由になったと思われる二つの嘘。
一つは、文武両道に秀でた兄・義円(演:成河)を妬み、死地へとそそのかした源義経(演:菅田将暉)の嘘。
そしてもう一つは、「千鶴丸を殺した者を生かしておくべきでない」という占い結果を受け、恩赦を与えるはずだった伊東祐親(演:浅野和之)と伊東祐清(演:竹財輝之助)を暗殺させた源頼朝(演:大泉洋)の嘘。
「爺様(じさま)はもう、帰ってはきません!」
北条義時(演:小栗旬)の悲痛な叫びも頼朝の心を動かすことはなく、不穏な空気のまま次回へとつながるのでした……。
という事で、今回はこれら二つの「許されざる嘘」+αを振り返っていきましょう。
一つ目の嘘「源義経、義円をそそのかす」
義経「勘違いしてるかも知れないけど、鎌倉殿はあなたのこと、それほど買ってないから。うん」
「独自に挙兵するから力を貸してくれ」と言ってきた胡散臭い叔父・源行家(演:杉本哲太)に恩義があり、心苦しく思っている義円をそそのかす義経。
義円も義円で純粋なものですから、実の弟である義経が自分を妬んでいるなどとは露ほども思わず、口車に乗せられてしまいます。
義経「ひけらかすのって、鎌倉殿は一番お嫌いだから」
「言い訳とか本当、あの方はお嫌いなのに」
『吾妻鏡』などを読む限り、「ひけらかし」や「言い訳」なら義経の方がよほど多いのですが、これは三谷幸喜の皮肉(あるいは末路の暗示)でしょうか。
義経「鎌倉殿に認めて欲しいんだったら、十郎叔父に従って西へ行き、手柄を立てる。それしか、ない」
「朝一番で、叔父上と出立しなさいよ」
まんまと義円を丸め込んだ義経は、文を預かりながらそれを破り捨ててしまいます。
かくして無断で鎌倉を離れた義円は墨俣川で平家の軍勢に敗れ、行家は義円を見捨ててさっさと逃亡。誠に無念の最期となりました。
頼朝「義円が目障りか。我ら兄弟が力を合わせねばならぬ時に。愚か者!」
つまらぬ嫉妬から実の兄を死に追いやった義経を咎めるものの、それでも将来の成長に期待をかける頼朝。
頼朝「いずれは跡を継がせてもよいとさえ考えておる」
義経「義円は」
頼朝「戦場に真っ先に駆けつけてくれたのは誰だ。あの時、どれほどわしがうれしかったか……心を磨いてくれ、九郎」
果たして頼朝の期待に応えてみごと成長してくれるのか……結局は史実に収束されていくのでしょうが、それまでの過程に注目したいところですね。