江戸時代・鎖国期の貿易を取り仕切った超重要ポスト「オランダ通詞(つうじ)」って何?

日蘭交流の橋渡し「通詞」

皆さんは「オランダ通詞(つうじ)」という存在をご存じでしょうか? 江戸時代、日本がいわゆる鎖国政策を採っていた頃の、オランダ語の通訳者のことです。

このオランダ通詞は、当時の貿易事務において通訳と税関吏とを兼ねていました。オランダ商館のオランダ人スタッフと日本人との間に入り、その役割を果たしていたそうです。

「通事」と書くこともあるとか。ただ一般には、通事と言えば中国語通訳業を、そして通詞がオランダ語の翻訳業を指していたようです。

主要な教科書には登場することのない、あまりスポットライトの当たらない存在と言えるでしょう。このオランダ通詞のことを少し書いてみたいと思います。

キリスト教の取り締まりを強化した徳川幕府は、1639年、日本各地で布教を行っていたポルトガル人の来航を禁止しました。

ただし、幕府への忠誠を示したオランダ人に対しては、キリスト教の布教を行わないことを条件に貿易を許可しています。

オランダ通詞も、最初は平戸のオランダ商館におかれました。

その後は、商館も1640~1641年頃に長崎の出島に移転し、その際通詞の一部も出島に移り住んでいます。

この時、通詞の立場も、商館ではなく長崎奉行に雇われる役人という形に変わりました。

その後、1656年には大通詞・小通詞という階級もつけられ、さらに1696 年には「オランダ通詞目付」をおくなど最終的には13段階に細分化され組織化が進んでいきます。

1人の目付の下に、大通詞・小通詞・小通詞助・小通詞並・小通詞末席・稽古通詞・内通詞などがそれぞれ若干名ずつおかれ、その数は幕末には約 140人に達しました。

3ページ目 世襲で多岐に渡り活躍

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