これは驚き!江戸時代初期の蕎麦は、茹でずに蒸していたんだって

皆さんは蕎麦(そば)が好きですか?筆者は大好きです。夏は冷水でよく〆た盛り蕎麦で、冬は温かい汁(つゆ)で掛け蕎麦……いや、冬でも盛り一筋!というこだわり派もいることでしょう。

盛り蕎麦の器には大きく(ざる)と蒸籠(せいろ)の二つがあり、それぞれ蕎麦の風情を引き立てると共に水を切って麺の伸びを防いでくれるすぐれものですが、これらはどういう違いで使い分けているのでしょうか。

笊は茹で上がった蕎麦を釜から揚げて(すくい取って)から冷水で〆たままお客に提供した名残、そして蒸籠は文字通り蕎麦を蒸したまま提供した名残となっています。

かつて蕎麦は現代のような麺(蕎麦切り)ではなく、蕎麦の実を雑炊にしたり、練った蕎麦粉(蕎麦搔き)を焼いたりしていましたが、やがて饂飩(うどん)にならって麺打ちするようになりました。

しかし、蕎麦粉だけで打つ十割蕎麦は麺のつなぎ(形状のキープ)が難しく、茹でるとボロボロに崩れてしまうため、蒸し上げて食べたのです。

それでも食感はボソボソ、麺もブツブツ切れやすくてのど越しは楽しめませんが、茹でた麺に比べると蕎麦の香りがより強く残るため、蕎麦本来の風味を楽しむにはもってこいと言えるでしょう。

今回はそんな「蒸し蕎麦切り」をネタにした小噺を一つ紹介。いったい何が起こるのでしょうか。

3ページ目 「むしそば切」の代金を踏み倒そうとした男

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