10代前半の少女も。北海道室蘭市にあった政府公認の遊郭「幕西遊郭」の歴史と現在

中村砂織

北海道は室蘭市

「行ったことはないが、地名は知っている」という方も多いのではないでしょうか?

太平洋に面した半円形に広がる日本屈指の工業地帯で鉄鋼業、造船業、製油所など多岐にわたり日本産業を支えてきました。今もなお「鉄鋼の街」として知られています。

また白鳥大橋をはじめとする夜景スポットも数多く存在し、全国の夜景ファンから熱い注目を浴びている一面も。

迫力ある断崖絶壁など絶景ポイントも多く、工業地帯でありながらも大自然も持ち合わせている室蘭。実は過去に女性たちによる壮絶で悲しい歴史があった幕西遊郭(まくにしゆうかく)についてはあまり知られていません。

本記事では室蘭に実在した幕西遊郭の歴史や、現在の跡地について紐解いていきます。

幕西遊郭とはなにか

幕西遊郭とは北海道室蘭市に実在した、政府が正式に認めた遊郭のこと。曽根富美子さんの「親なるもの 断崖」で、青森の貧農から遊女へ売られた4人の少女たちの過酷な運命を描いた漫画(フィクション)の舞台にもなっています。

当時は見知らぬ土地からやってきた労働者を安住させることを目的とした、政治的な策から誕生しました。政府が管轄する遊郭は全国に多数存在し、大小合わせると500箇所以上にものぼります。

また日本三大遊郭として有名なのは江戸の吉原遊郭、京都の島原遊郭、大阪の新町遊郭。中でも吉原遊郭は別格で2万坪以上の敷地に、数千人の遊女がいたと記録が残っています。

それに比べると規模は小さくなりますが、幕西遊郭は東北の中では比較的大きく有名な遊郭の1つだったと言われています。

昭和33年まで続いた幕西遊郭ですが、全盛期では10数件の楼が軒を連ねるほどまでに。利用客は労働者の他に政財界の大物や有名文化人なども多く訪れ、夜の情報交流の場としての一面も持ち合わせていました。

2ページ目 幕西遊郭の歴史について

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