歴代天皇の第2代・綏靖天皇(すいぜい。在位:紀元前581年~同549年)は、日本国を興した神武天皇(じんむ)の第3皇子・神沼河耳命(かむぬなかわみみのみこと)として生まれ、熾烈な後継者争いに勝利して皇位を継承。
人々の暮らしを安んじる善政を布いたことから、共に「やすんじる」ことを意味する綏・靖の文字を連ねた綏靖天皇と諡(おくりな。生前の事績を示すため、死後に贈られる名前)されました。
綏とは「垂紐(たれひも)」の意で、ゆらゆらとリラックスした様子=安らぎを示し、靖は「静める」意味で、綏靖とはゆらゆらと揺れている垂紐がゆっくり動きを止めるような静けさ、安らかさを表していますから、よほど穏やかな人格・政治だったのでしょう。
しかし、そんな人格者に「ウラの顔」を勘繰るのは大衆の性(さが)というものか、南北朝時代の説話集『神道集(しんとうしゅう)』には、こんな事が書かれているのでした……。