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信長だけが織田じゃない!マイナー織田家に仕えて信長に対抗した戦国武将・角田新五【中】
戦国時代、尾張国(現:愛知県西部)の地方領主であった守山城主・織田信次(おだ のぶつぐ)は、家臣が甥・信長の弟である織田秀孝(ひでたか)を殺してしまい、信長の報復を恐れるあまり、家臣を見捨てて逃げ出しました。
守山城に残された筆頭家老の角田新五(つのだ しんご)は坂井喜左衛門(さかい きざゑもん)らと共に籠城し、攻めて来た織田勘十郎信勝(かんじゅうろう のぶかつ。織田信行)&信長連合軍と戦います。
激戦の末、ボロボロになったところで「織田安房守信時(あわのかみ のぶとき。信長の異母弟)を守山城主に迎えるなら、和睦してやる」と条件を出され、新五らはこれを快諾。
新たな守山城主となった信時を喜左衛門と共に補佐し、これで一件落着かと思いきや、またもや新たなトラブルが新五を悩ませるのでした……。
ついに下克上!主君・織田信時を粛清
さて、喜左衛門には坂井孫平次(まごへいじ)という息子がおり、これが大層なイケメンと言うか中性的な美貌を備えていたそうで、主君・信時はすっかりメロメロになってしまいました。
いわゆる男色ですが、孫平次に対する寵愛はよほど深かったようで、信時の外戚(?)となった喜左衛門は「双(なら)びなき出頭(=出世)」を遂げたことが『信長公記』に残されています。
これまで守山城の筆頭家老は新五でしたが、いつしか喜左衛門の方が重用されるようになると、粗略に扱われる新五は当然面白くありません。
「おのれ喜左衛門……このわしを差し置いて、色仕掛けで取り入りおって……」
坂井一族を粛清するべく一計を案じた新五は、戦火によって損壊した守山城の修復・増強工事を開始します。
「あ、御屋形様。これからしばらく職人さん結構出入りしますんで、よろしくお願いしやーっス」
とは多分言っていないでしょうが、そんなノリで油断させて城郭に侵入口を確保。信時が孫平次と喜左衛門を侍らせて「うむうむ、工事は順調のようじゃな……ははは」と油断していたところへ、夜陰に乗じて手勢を城内へ引き込みます。
「新五……これは何の真似じゃ!」
一つ布団の中で孫平次と夢心地なひとときを楽しんでいた信時は、褌一丁で新五の手勢に取り囲まれてしまいました。
「問答無用……ここで腹を召されるか、可惜(あたら)首を討たれるか……選べ!」
「……無念……っ!」
かくして信時は詰腹を切らされ(切腹を強要され)、孫平次と喜左衛門も討たれたのか、あるいはどさくさに紛れて逐電したのか、その後の記録には登場しません。
3ページ目 かつて敵対した信勝に仕える新五、そして守山城主に返り咲いた信次