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信長だけが織田じゃない!マイナー織田家に仕えて信長に対抗した戦国武将・角田新五【上】
戦国時代、織田信長(おだ のぶなが)が統一するまでは、尾張国(現:愛知県西部)にはいくつもの織田一族が割拠していました。
そんな織田家の一つで信長の叔父・織田孫十郎信次(まごじゅうろう のぶつぐ。守山城主)は、過去の失態が原因でみんなから馬鹿にされており、ある日、信長の実弟・織田喜六郎秀孝(きろくろう ひでたか)が信次を挑発。
屈辱に耐えかねた信次の家臣・洲賀才蔵(すが さいぞう)が秀孝を射殺すると、信次は信長の勘気を恐れて、才蔵ともども逐電してしまいます。
取り残された家臣たちは、一目散に筆頭家老・角田新五(つのだ しんご)が留守を務める守山城へ逃げ帰ったのでした……。
逃げた主君の尻拭い……守山城に立て籠もる
「何じゃと!?」
家臣たちから事情を聞いた新五は、頭を抱えてしまいました。美談っぽくカッコつけてみたところで、要するに「家臣がついカッとなって殺った」「反省していないこともないが、信長が怖いので逃げる」……ただの丸投げ以外、何物でもありません。
「ご家老!」「ご家老!」「ご家老……!」
こうなった以上、逃げた主君・信次を恨んだところで詮無きこと……新五はさっそく家老衆の坂井喜左衛門(さかい きざゑもん)と高橋与四郎(たかはし よしろう)、そして喜多野下野守(きたの しもつけのかみ)を招集し、兵を掻き集めて守山城に立て籠もりました。
「大人しく、恭順の姿勢を見せた方が得策では?」
そう思われる方もいるでしょうが、とかく交渉ごとは「ナメられたら終わり」……たとえ謝罪をするにしても「許さなかったら、解っているだろうな!?」くらいのハッタリを利かせるのが、戦国武士の流儀というもの。
やがて、岩崎城(現:愛知県日進市)から丹羽右近源六氏勝(にわのうこん げんろくうじかつ)が援軍に駆けつけ、最善の守りを固めて信長たちを待ち構えました。
3ページ目 弟の訃報に怒り狂う勘十郎信勝と、意外と冷静な信長