芸舞妓は「~どすえ」遊女は「~ありんす」独特の言い回し
京都の舞妓さんや芸妓さんの「~どすえ」「よろしゅうおたのもうします」などの「京言葉」に「粋」を感じる人は、現代でも多いことでしょう。また時代劇などに登場する遊女は「~でありんす」という独特の「廓言葉」を使い、これまた独特の「粋」を演出しています。
遊女は身体を売り、芸者は芸を売るという大きな違いがあるにもかかわらず、この両者には言葉についての共通点があります。
様々な地域から花街へやってきたはずの遊女や芸舞妓が、なぜみんな一律に同じような言葉遣いをするようになったのでしょうか?
実はこれ、色々な客とスムーズに会話をするための工夫であるとともに、「粋」と「艶」、そして「高貴さや優美さ」などの魅力を演出するためだったのです。
遊女の多くは地方出身!そのままでは会話が成立しなかった!?
多くの人が「共通語」を話すようになっている現在、「方言」の良さが見直されています。
お笑い芸人はもちろん、タレントの中にも方言を話して大人気の方が何人もいます。
しかし、そのように考えられるようになったのは、実は比較的最近のこと。
吉原全盛期の江戸時代に、身分の高い大名や豪商の接客をする遊女の訛りがきついのは、大問題でした。
遊女は多くが地方の農村などから売られて来ていたので、そのままだと方言がきつくて会話が成立しない…なんてこともあったのだとか。
いくら艶やかで魅力的な花魁でも、これでは台なしです!
そこで吉原で使われるようになったのが「廓言葉」、いわゆる「ありんす言葉」です。
「~ありんす」「~おくんなんし」など語尾に特徴のある廓言葉は、遊女たちの訛りを隠すだけでなく、更なる高貴でなおかつ艶っぽく見せることにもなりました。
吉原に売られてきた娘たちの最初の苦労は、この「ありんす言葉」を習得することだったのだそうです。
ちなみに同じ「妓楼」でも、関西の遊郭では「ありんす言葉」は使われず、関西弁が使用されていました。