前回に引き続き、江戸の浮世絵師・鈴木春信の「風俗四季哥仙」から今回は4月の「風俗四季哥仙 卯月」をご紹介します。
前回の記事
虚無僧がイケてる?江戸時代に実際にあったファッションとしての虚無僧スタイル!鈴木春信の魅力 その5
前回に引き続き、江戸の浮世絵師・鈴木春信の「風俗四季哥仙」から今回は4月の「風俗四季哥仙 卯月」をご紹介します。1月については「風俗四季哥仙 立春」を、2月については「風俗四季哥仙 竹間鶯・二…
虚無僧が何故おしゃれ?
この作品をもう一度見直してみます。中央の男性、いかにも“伊達虚無僧”と呼ばれたファッションです。しかも天蓋を外して顔をさらしてしまっています。右手には天蓋と呼ばれる深編笠を持ち、袈裟をかけ、左手には尺八。
そしてもちろん女子二人が自分を見ているのをわかっていながら、あらぬ方向を眺めてすましています。さも“格好いいだろう俺って”と言わんばかりのチャラいやさ男。
しかし何故この“虚無僧スタイル”が格好いいと万人受けしたのでしょうか。
この絵暦が描かれた江戸時代、歌舞伎や文楽は町衆の娯楽として隆盛を極めていました。歌舞伎に関して言えば江戸の町には大きい官許の芝居小屋が3つありました。
歌舞伎も文楽も演目は“客受け”するもの、その時代の“人々が求めているもの”を作り上演していました。それが江戸のトレンドを作りだしていったのです。
それでは「虚無僧」が登場する歌舞伎の演目で、大人気を博した演目をいくつかご紹介します。