昔は必ず見かけた「エレベーターガール」…今は?
30代の筆者が子供だった頃、大手百貨店のエレベーターには「エレベーターガール」と呼ばれる女性がいました。
乗客から行先階を聞き、「次は〇階、〇〇のフロアでございます」と優雅な声でアナウンスする彼女たちは、「女性の花型職業」と呼ばれていました。
しかし最近では、エレベーターに乗ってもほとんど見かけませんよね?
エレベーターガールは、いったいどうしてあまり見かけなくなってしまったのでしょうか?
エレベーターガールの歴史
日本で初めてエレベーターガールが採用されたのは、1929(昭和4)年、松坂屋上野店でした。
元々、松坂屋のエレベーターは手動式で操作が大変難しく、男性が運転していました。
当時は扉の開閉なども、手で行っていたのだそうです。
しかし松坂屋上野店は1923(大正12)年に、関東大震災で全焼してしまいました。本館が再建されたのは1929(昭和4)年でしたが、その際新しく導入されたエレベーターが「水平停止開閉式」という当時の最新型だったのです。
以前のものより格段に操作がしやすくなったエレベーターに、当時は「昇降機ガール」と呼ばれたエレベーターガールが初めて採用されたのは、この頃でした。
操作がしやすくなったといっても、この時代のエレベーターは現在のようなボタンひとつで動く全自動式ではありません。
エレベーターガールたちはハンドルや足元のボタンを使って上昇・下降・停止の操作と満員のお知らせを行い、
「次は〇階でございます。6階には◯◯がございます」
などのフロア案内、さらに各フロアに到着するたびにエレベーターの外へ出て「呼び込み」まで行っていたというのですから、見た目以上に大変な仕事だったことでしょう。