浮世絵を好む人ならば「鈴木春信(すずきはるのぶ)」の名前を知らないという人はいないでしょう。
鈴木春信は浮世絵の草創期に、それまで浮世絵の世界にはなかった多色刷りによる“錦絵”という手法の開発に絵師として関わり、彫師、摺師とともに、それまでの浮世絵の質を飛躍的に向上させ、時の人として人気を博しました。
この浮世絵が大流行する背景には絵暦交換会の存在があります。江戸時代は太陰太陽暦を使用していました。つまり月の満ち欠けをもとに1ヶ月を捉えていました。
その結果一ヶ月が30日の月を大の月、一ヶ月がは29.5日の月を小の月としました。1年が13ヶ月という年もありました。しかも毎年それが変わるので暦が必要でした。
そこで当時の俳人・趣味人・知識人の間で、いかに趣向を凝らした絵暦を作るかということが競われたのです。やがてこの版木が版元に売られ、庶民の間にも浸透していきました。
鈴木春信は多くの絵暦を制作しました。今回は鈴木春信の代表作の一つである『風俗四季歌仙』という作品をご紹介します。『風俗四季歌仙』は1年の毎月を和歌と絵で表現したシリーズです。