現在、東京の都心には超高層ビルが林立していて、新潟の田舎から東京に出るたびに毎回筆者は圧倒され、飲み込まれそうになってしまいます。
しかし、地震大国である我が国において、どうしてこのようなコンクリートジャングルを築くことができたのでしょうか。筆者には不思議でなりませんでした。
その答えは、「耐震」「制震」「免震」の技術にありました。
古寺に伝わる五重塔の建築技術
そもそも日本の法律では、1963年以前は、高さ31メートルを超える高層ビルの建設は法的に許されませんでした。ところが、技術革新などにより31メートルを超える建造物の安全性が証明され、法律も改正。現在では100メートルを超えるビルの建設も可能になりました。
日本で100メートルを超えるビルとして一番最初に建てられたのが、「霞が関ビル」。このビルの建設がきっかけとなり、東京は高層ビルジャングルになっていきます。ところで、この「霞が関ビル」以前のビル建設の地震対策には耐震構造が取られていました。鉄筋コンクリートで柱と壁を強くして地震の揺れに対抗する「剛構造(ごうこうぞう)」といわれるものです。
ところがこの技術では、100メートルを超える高層ビルに適用すると、鉄とコンクリートの量で実用に耐えなくなってしまいます。
そこで採用された方法が「制震構造」と呼ばれる方法。これは、地震の揺れに合わせて建物を適度に揺らすことによってエネルギーを分散・吸収する「柔構造(じゅうこうぞう)」の建築方法です。
この柔構造、もともとは古寺に伝わる五重塔の建築技術が利用されたものなんです。