日本の寺院では、仏像を祀り、厄除けなどの祈祷をし、冠婚葬祭を執り行うことが一般的です。しかし、仏教が今日のような形になったのは、檀家制度が整備された江戸時代以降のこと。
実は、日本の仏教は時代とともにその変貌を遂げているのです。日本仏教において主要な施設である寺院とてそれは同じことです。
お寺の起源
お寺の起源は、古代インドで釈迦をはじめとした修行僧たちが集まっていた精舎です。ここは僧たちが寝食を共にしながら仏法を学び、ときに語り合い、ときに瞑想する場所でした。
釈迦の入滅後、釈迦(仏舎利)の遺骨を納めるストゥーパ(仏塔)が建てられるようになります。その後、紀元1世紀からは仏像も作られるようになり、それを保管する施設(仏堂)ができました。こうして、「僧院」「仏塔」「仏堂」という古代インドにおける基本的な寺院の構成が確立したのです。
6世紀後半、日本に伝来した仏教
6世紀後半、仏教は中国・朝鮮半島を経て日本に伝来します。仏教寺院ではもともと、仏舎利を納める仏塔がメインの施設だったのですが、日本に伝わるころには次第に仏塔から仏像を収める仏堂が中心となっていきました。現在記録上で明らかになっている日本最古の本格寺院は、奈良の飛鳥寺(法興寺)です。
奈良時代になると、国家を鎮護するために仏教が積極的に取り入れられるようになり、日本各地に国分寺・国分尼寺が各地にでき、寺院はやがて僧侶が国家のために読経する場へと変わっていきます。