テレビもケータイもなかった江戸時代、庶民はニュースに飢えていました。そこで発達したのがかわら版。今回は江戸のワイドショーとも新聞とも呼ばれるかわら版についてご紹介します。
かわら版とは
江戸時代において、今の新聞の号外のように道端で配られ、江戸のワイドショー的役割を果たしていたかわら版。浮世絵と同じように、文字や絵を彫った原板を紙に1枚1枚摺って作られた印刷物です。ちなみに原板は粘土板に文字や絵を彫って印刷したとも言われますが、木版摺りのほうが早くて安いため基本的には木版摺りであったとされています。
誰が売るの?
そうして一定数摺られたかわら版を売り歩くのは、とんがり帽のような編笠を目深にかぶった「読売」。
その名の通り、道行く人々の興味を引くようにかわら版をちょっと節をつけたり面白おかしく読み上げながら売るのです。大抵が2人組で、1人が読み上げ、もう1人がなんとなく周りを伺っています。
これはかわら版の内容が幕府を揶揄するような内容だと捕まってしまうからで、見つかりそうになったら捕まらないようにさっさと散ってゆくのです。編み笠を深くかぶっているのも同じ理由で顔を知られないようにするためでした。