花の命はなぜ短い?日本の神話と歴史が記された「古事記」に伝わる花嫁たちのエピソード

かつて作家の林芙美子さんが「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」と言った通り、人間の一生なんて長くてもせいぜい百年、実に儚いものです。

今回は日本の神話と歴史が記された『古事記』から、人生が儚いものとなった理由について紹介したいと思います。

※以下、神様のお名前表記は『古事記』に倣います。

木花之佐久夜毘売との出逢い

昔々、豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに。現代の日本)を治めるべく、天照大神(あまてらすおおみかみ。日本における至高の女神)の命よって高天原(たかまがはら。天上の世界)から派遣された彼女の孫(天孫)・天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎのみこと)……名前が長すぎるので略して邇邇芸命(ににぎのみこと)は、笠沙(かささ)の岬という場所(現:鹿児島・宮崎県のどこか。諸説あり)で、一柱(※)の若く美しい女神に一目惚れします。

(※)神様を数える単位。人間でいう「~人」に相当。

「あなたはどちら様ですか?」

【原文】爾問「誰女」

彼女の名前は神阿多都比売(かむあたつひめ)と言い、山の神様である大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘です。阿多とは薩摩国阿多郡(現:鹿児島県日置市の南部と・南さつま市の北部)とも言われ、都とは「~の」を意味しますから、彼女はかつてその辺りに住んでいたのかも知れません。

ちなみに、よく知られている木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)とは異名で、咲き誇る花のような美しさからそう呼ばれていたのでしょう。

6ページ目 まさかの初対面プロポーズ、そして二人の花嫁

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