戦国大名・上杉氏二代(謙信、景勝)に仕え、文武両道の手腕を発揮した直江山城守兼続(なおえ やましろのかみ かねつぐ)。
軍神・愛宕大権現より「愛」の一文字を前立にデザインした兜がトレードマーク、大河ドラマ「天地人」でも大活躍した人気武将の一人です。
今回は、そんな兼続のお茶目?なエピソードについて紹介したいと思います。
斬り殺された下人と、遺族の怒り
時は戦国末期の慶長二(1597)年。上杉家中の三宝寺勝蔵(さんぽうじ しょうぞう)という者が、五助(※諸説あり)という下人の不始末を咎め、斬り殺す事件がありました。
江戸時代であれば、武士は「斬り捨て御免」とうそぶき、庶民は泣き寝入りしていたかも知れませんが、戦国乱世を生き延びた民衆に「お上意識」など希薄です。
当然の如く、下人の遺族たちは敢然と家老である兼続に訴え出ました。
「ふざけるな!いくら不始末だからって、殺すほどではなかった筈だ!」
「きちんと事実関係を調査し、然るべき対応をとるべきだ!」
その声を受けた兼続は勝蔵に対して取り調べを実施。事情を聴くと、確かに不始末ではあっても、斬り殺すほどの重罪ではなく、ついカッとなって斬(や)ってしまった、との事でした。