戦前の日本を代表する通信社であった「同盟通信社」の資産の一部を基に設立された「新聞通信調査会」が11月1日、同盟通信社が戦前、戦時中に全国の新聞社などに配信していた記事をデジタルアーカイブし、インターネット上から誰でも無料で閲覧・ダウロードできるようにした「新聞通信調査会デジタルアーカイブ」を公開しました。
同盟通信社は、現在の共同通信社と時事通信社の前身の組織として1936 年(昭和11年)から1945 年(昭和20年)10月まで活動していた国際通信社で、約5500人もの職員を抱える報道機関でした。
戦前から国内の新聞社などに毎日約10万字の記事や多数の写真を配信していました。戦時中には連合軍側各国の通信社電やラジオニュースなどを傍受する業務にもあたっていたそう。
終戦後には同盟通信社は自主的に解散し、業務は共同通信社と時事通信社に引き継がれることになります。
今回インターネット上に公開されたデータは同盟通信社が全国の新聞社などに配信した記事を冊子形式にまとめた「同盟旬報」と「同盟時事月報」で、1937年7月発行の第1号から1945年3月発行の225号まで全て公開を予定しています。
11月の時点では1号から1940 年末発行の127号まで公開されており、残りは2019年2月の公開を予定しています。
同盟通信社が配信していた記事は政治経済がらみのものも多く、当時の政府や軍部による報道統制下の制限の影響を受けながらも、可能な限りの正確差を追求した、第一級の史料的価値があるとしています。
戦前、戦時中のこのような資料がインターネット上で制限も受けずに共有されることで、様々な研究に役立てられることが期待されます。