貧しい庶民でも高額な旅行に参加できる可能性も・・・。
前回の「まさに荒行!江戸時代の旅行では1日40㎞も歩く旅人もいた。」では、無一文であってもお陰参りに参加できると紹介しましたが、
まさに荒行!江戸時代の旅行では1日40㎞も歩く旅人もいた。江戸時代の旅行事情【1】
庶民は旅行禁止の江戸時代、旅に出るための抜け道とは学校では修学旅行、会社では社員旅行、家庭では家族旅行、一匹狼のアウトローには気ままな一人旅と、現代の日本では、観光や旅行は庶民にとって身近な娯楽と…
伊勢に向かう全ての人が無一文だった訳では無く、毎日がお陰参りのブームだった訳でもありません。
旅が身近なものとなった江戸後期でも、旅に掛かる費用は現代と比べて桁違いに高く、百姓の暮らしは貧しかったため、普通の手段では伊勢にまで辿り着けませんでした。百姓と言っても経済状況はピンからキリまで、百姓の中間管理職的な立場の庄屋、大庄屋などは生活に余裕がありましたが、末端の百姓には高額な旅費を捻出することは出来ません。
そんな庶民の長旅を可能にしたのが、講と呼ばれる制度でした。講とは一言で言えば高額な旅行費を捻出できない人向けの積立&くじ制度です。現代で考えるなら社員旅行のくじ無し積立制度といった感じでしょうか。
現代版の旅行積立は、大手の旅行会社や航空会社が提供しており、年利が1.5~3%と、銀行の利息よりもお得なため、お金を増やすことが目的と言えます。同じ積立と言っても現代と江戸時代とでは目的が大きく異なっていました。
講は目的地に合わせて様々な種類が有り、伊勢講、富士講、金比羅講などその数は多岐にわたりす。月々の負担額も少なく複数の講に加入している人(家)も多くいました。
講に入会して講員になると毎月少しずつ旅費を積み立てて、その金額が貯まるとくじ引きが行われます。