行司さんには危険がいっぱい!?
相撲の取り組みを裁く行司は、土俵上の勝敗を見極められる所に立ち、正確に軍配を上げるのが仕事。それと同時に考えなければならないのが、力士と接触する危険を回避することです。
元々力士には身体の大きな人たちが多いのですが、近年は外国人力士が増えたことや栄養状態が良くなったことなどの影響で、更に大型化しています。また、相撲自体のスピードも速くなっています。
多くの行司さんは標準体型ですから、体重150キロ前後の力士と猛スピードで激突したら、ひとたまりもありません。
元第33代木村庄之助である野澤要一氏の著書『力士の世界』によると、元横綱・朝青龍に投げられた元大関・琴欧州(現・鳴門親方)の足の先が、土俵上の野澤氏の身体をかすったことがあったそうです。
「まともにあたっていたら私の体が吹っとんでいました(同書)」という言葉からも、その恐怖が伝わってきます。
ですから、行司は土俵上では常に力士の動きを予測しつつ、なおかつ正確に勝敗を判断できる「つかず離れずの位置」をキープしています。