江戸時代と灯り…庶民にとってロウソクは高価で贅沢品だった?

阿部裕子

前回の「あんどんが「行灯」という漢字になったのはなぜ?」に続いて、今回も江戸時代と灯りについて紹介します。

外出用から室内用に変わった行灯ですが、現代の私たちが日々慣れているような明るさとはまったく違います。でも江戸時代の人々にとっては、かなり暗くてもそれが普通だったので、暗くてもなんのその。行灯の下で裁縫をする女性も多かったそう。洋服のように複雑な縫い方ではなく着物は直線縫いが大半なので、その暗さに一度慣れたら、なんとかなったようですね。

行灯には、湯屋や寄席で使われた八間行灯(はちけんあんどん)という大型行灯もありました。これは天井からつるすタイプの行灯で、広い範囲を照らすことができたそう。名前は行灯となっていますが、外見はかなり違ったものといえるでしょう。

ちなみに行灯を数えるときは、「」「」「灯(とう)」などの助数詞を使った江戸時代。この中で最も一般的だったのは「」という数え方です。江戸中心部の長屋は、部屋がかなり狭いので、行灯がひとつあれば十分なほど。つまり、行灯1張ですね。

3ページ目 庶民の憧れ?の蝋燭(ろうそく)

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了