幕末〜明治時代の浮世絵師・月岡芳年。同時期に活躍した河鍋暁斎とともに現在でもファンの多い、根強い人気の絵師です。
月岡芳年の代表作には「風俗三十二相」や「月百姿」などの続きモノ作品がありますが、目を覆いたくなるような無残絵の作品を多く残した絵師でもあります。そして芳年は伝記や小説などの怪奇的な物語を題材にした妖怪画も手がけていました。
今回紹介する展覧会は、月岡芳年が描いた妖怪画が一挙公開される「月岡芳年 妖怪百物語」です。
東京原宿の浮世絵専門・太田記念美術館で開催される同展では、多数の妖怪たちが登場する怪奇画集の傑作として知られている月岡芳年の2つの作品集「和漢百物語」と「新形三十六怪撰」に加えて、初期から晩年までの作品をあわせて約100点が出品される展覧会となります。
月岡芳年が師事していたのはかの有名な浮世絵師・歌川国芳。芳年は画業の初期から妖怪や無残な題材を好んで描いており、妖怪画を得意としていた師匠の影響が考えられるといいます。芳年自身が幽霊を見たという話も伝わっており、芳年にとって怪奇的な出来事は身近なものだったのかもしれません。