ここからが「関取」と呼ばれる階級
大相撲の力士が番付を上げていき、最初に「関取」と呼ばれるようになる階級が「十両」です。十両に上がると、力士への待遇は幕下までとは大きく変わります。
幕下までと十両の一番大きな違いは、相撲協会から毎月「月給」が支給されるようになる点です。現在の十両の月給は、103万6000円。また、地方での場所の場合、宿舎から会場への移動にはタクシーを使えるようになる、飛行機ではビジネスクラスを利用できるようになるなど、まさに待遇は雲泥の差です。
その他に、引退後の待遇や退職金の面でも優遇されます。引退後に「年寄」を襲名するには、十両以上の関取を通算30場所以上務めることが条件とされています。
十両に上がることで、力士は初めて「一人前の力士」と認められることになると言えるでしょう。
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なぜ「十両」と呼ばれているの?
この階級は、なぜ「十両」と呼ばれているのでしょうか?
「十両」という階級が制定されたのは、明治時代のことです。通常は無給の幕下までの力士のうち、幕下上位十枚目までの力士には、場所ごとに十両の給与を支給することが定められました。ですから「十両」は、「十枚目」とも呼ばれています。「十枚目までの力士」に「十両」を支給するとは、非常に分かりやすい給与体系ですね。
正式には「十枚目」の方が正しい呼称なのですが、アナウンスの都合上「十両三枚目」を「十枚目三枚目」などとは言いにくいための配慮から、一般的に「十両」と呼ばれるようになっています。
十両に昇進するための条件は?
幕下から十両へ上がるには、番付外の「前相撲」から最低でも6場所を経験することが必要とされています。
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そして勝ち星をできるだけ重ねることはもちろんですが、それ以外に「十両から何人の力士が陥落、又は引退するか」ということも重要となってきます。
幕下までと違い十両には定員があり、東西それぞれ14人ずつと決まっています(2004年1月場所以降)。そのため、場所後に十両に何人分空席ができるかで、次の場所で幕下から昇進できる人数が変わってくるのです。
「狭き門」であるこの十両のポストを巡り、力士たちは今日も稽古に汗を流しています。
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