日本人の旅にフォーカスした展覧会『旅する人びと〜東海道五十三次から世界へ〜』が開催されてますよ。
戦国の世が終わり、天下泰平の江戸時代になると、街道は整備されて、人々は安全に遠くへ出かけることができるようになりました。当時の庶民は、移動の自由が厳しく制限されていましたが、江戸時代には『お伊勢参り』に代表される信仰のための旅が庶民にも許されるようになり、多くの人びとが旅に出るようになりました。
お参りが名目の旅ですが、この頃にはお参りのついでに寄り道したり、物見遊山や温泉入浴目当てに旅行に出かけていたようです。明治時代に入ると鉄道が開通し、人びとの移動範囲は急速に拡大し、旅行の様子も変化していきました。
同展では、江戸時代から昭和のはじめにかけて大きく様相を変えていった『日本人の旅』について紹介。当時の旅人が書き残した旅日記、旅人が見たであろう風景が描かれた浮世絵や絵巻、旅人が使った旅道具などをもとに、昔の旅を追体験していきます。江戸時代の旅人といったら、笠をかぶって手甲を付けて、脚絆を巻いてのイメージ。
昔の人も道中の別の楽しみが旅の目的となっていたのは、現代とあまり違いがありませんね。当時も名所案内のガイドブックや紀行モノなど、観光をテーマにしたさまざまな出版物が刊行され、庶民の旅心を掻き立てていたようです。
好きなときに好きなところに行けることが当たり前の現代。昔の人にとっては、旅はとても特別なことでした。当時の旅人に思いを馳せながら、一緒に行ったつもりで鑑賞したい資料がいっぱいの展覧会です。
『旅する人びと〜東海道五十三次から世界へ〜』
会場:川崎市民ミュージアム 企画展示室1
期間:2016年10月08日-2016年11月20日
休館日:毎週月曜日(10月10日は開館)、10月11日(火)、11月4日(金)
観覧料:一般 500円/学生・65歳以上 400円/中学生以下 無料