葛飾北斎の先生っぷり炸裂!北斎漫画ほど知られてない「略画早指南」はガチ教科書

増田 吉孝

葛飾北斎の作品は富嶽三十六景を筆頭に日本のみならず世界的にも有名。そして北斎が絵手本として残したスケッチ画集「北斎漫画」もまた人気。北斎漫画の人気のスケッチ部分は手ぬぐいをはじめとした和雑貨のデザインで使用されているので、現代でも様々な場所で見ることができますよね。

北斎漫画(一部)出典

北斎の作品から絵の手法を学んだりアイデアを得たりすることは現代でも十分できますが、今回紹介する作品はまさに北斎先生が作った教科書のようなスケッチ画なんです。その作品は「略画早指南」

「略画早指南」は前編・後編の2巻からなる作品で、タイトルに指南という言葉が付いていることからわかるように、現代でいう絵描きのハウツー本といった内容。

北斎漫画に比べると略画早指南には可愛らしいキャッチーなキャラが登場しないこともあってか、あまり取り上げられることがありませんが、デザインやイラストにたずさわる人にとってはかなり面白く学べる内容となっています。

前編では定規やコンパスを使用した絵の描き方を指南。北斎の手法が惜しげもなく紹介されています。北斎の作品もこういった手法で描き上げられていたのかと思うとワクワクが止まりません。この時代でコンパスを使用した指南書というのも珍しいかもしれません。

出典: British Museum

お猿さんのスケッチは伊藤若冲のゆるカワな猿猴捕月図に似ていますね。

そして後編では文字を使って絵を描く方法を指南。「文字を使って絵を描く」というのはちょっと言葉ではわかりづらいかもしれませんので絵を見てみてください。少ない文字線で見事にシルエットを表現する手法は学べることも多そうですね。

出典: British Museum

こういったスケッチ画の指南書としては北斎漫画の他に「葛飾北斎に真似された男」として以前Japaaanで紹介した北尾政美の「鳥獣略画式」がオススメですのであわせてどうぞ。

ゆるカワ炸裂だ〜!葛飾北斎に真似された男、鍬形蕙斎の「鳥獣略画式」の可愛さよ!

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