空海が何故かきゅうりに託した秘法「きゅうり封じ」

Japaaan編集部

「きゅうり封じ」なる「秘法」を、あなたは御存知でしょうか。

きゅうり。そう、あのきゅうりです。青くて、かつ緑色で、長かったり太かったりする、あのきゅうりです。寺の坊様が「秘法」によってきゅうりにパワーを帯びさせ、参拝者はそのきゅうりで体の悪いとこを撫でる。撫でたきゅうりには悪いものが乗り移り、それを捨てることで、病気も一緒に捨ててしまえる。それが「きゅうり封じ」であります。

「秘法」という割に使用するアイテムは過剰な生活感を放ってますが、見くびってもらっては困ります。この「秘法」、かの真言宗開祖・空海の秘伝の修法です。衆生を病苦から逃れ、安楽往生できるよう、中国伝来の秘法を後世の我々へ伝えてくれたわけです。正に千年の時を越える「秘法」であります。


日本のあちこちで行なわれてる「きゅうり封じ」ですが、有名なのは、京都の五智山蓮華寺でしょうか。世界遺産・仁和寺のすぐそばにあり、かつては仁和寺の奥の院でもありました。立派な仏像が並んでることでも有名で、「きゅうり封じ」の時でなくとも実に見ごたえのある寺です。

地元で取れたきゅうりが並ぶ受け付けへ行き、所定の用紙に氏名年齢、そして軽い怪我から精神病まで網羅された病名表を見つつ自分の病気を記入します。祈祷料の1000円を払うと、この用紙の内容を元にした「祈祷メモ」みたいなのががきゅうりへ埋め込まれ、そのきゅうりを坊さんが「秘法」で祈祷してくれるわけです。

きゅうりは家へ持ち帰り、3日間、朝と夜に真言を唱えながら体の悪いところを撫でます。真言は「のおまく、さんまんだ、ばざら、だんかん」。で、4日目の朝に川へ流すか、誰も踏まない土に埋めます。これで、悪いところを全部持ってってくれる、と。

ありがたい、実にありがたい「きゅうり封じ」。でも、何故、きゅうりなんでしょう。一説によると、空海、単にきゅうりが嫌いだったそうです。「こいつに悪いもん、全部のっけて流してしまえ」という感じなんでしょうか。千年の時を越える、好き嫌い。偉大過ぎて、何かもう、よくわかりません。

五智山・蓮華寺のホームページ

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