ペリーは提督ではない?“黒船”という名称も実際は…ペリー艦隊の誤解と意外なトリビアを解説

「代将」という役職

日本の開国を迫った有名なペリー提督。歴史の教科書でおなじみのこの人物について、正確な事実を整理してみましょう。

まず最も重要な点として、ペリーは「提督」ではありませんでした。当時のアメリカ海軍には「提督(Admiral)」という階級は存在していなかったのです。正しくは東インド艦隊司令官という役職でした。

なぜアメリカ海軍に提督がいなかったのでしょうか。これにはアメリカという国の成り立ちが深く関わっています。

アメリカ海軍は独立戦争の際に組織されましたが、戦争が終わると解散してしまいました。その後、1812年の英米戦争で再び編成されるという複雑な歴史をたどっています。

「提督」は終身階級です。つまり、一度提督になったら死ぬまでその地位を保持することになります。

しかし、アメリカ議会は海軍に終身階級を置くことを好ましく思いませんでした。そこで考え出されたのが「代将(Commodore)」という一時的な地位でした。

これは任務が終了すれば元の階級に戻るというシステムにもとづく地位です。ペリーも任務を終えた後は代将から大佐に戻っています。

最近の教科書では、こうした事実を反映して「ペリー提督」ではなく「東インド艦隊司令官」と表記されるようになっています。

2ページ目 「黒船」という名称も実際は…

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