「べらぼう」源内生存説は有望!?退場しても存在感が薄れない“もう一度会いたいあの人”【平賀源内編】

高野晃彰

今年の1月5日(日)から始まった、NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」は、もうすぐ終わります。

さまざまな出来事が起こり、喜びもあれば急転直下地獄に突き落とされるような展開もあり、森下脚本に毎回ハラハラしながら見守ってきた人も多いことでしょう。

最終回は12月14日(日)を予定しているそうです。残すところ、あと6回。あれはどうなる?あの人はどうなった?など、気になることは山盛りです。

残りの放送が少なくなってきた今。終わることが非常に惜しまれるので、ここで、SNSやネット記事でも評判を呼んだ「もう一度会いたいあの人(orあの場面)」を回想・考察しつつ、あらためてその魅力を探ってみたいと思います。

今回は、第44話の副題『空飛ぶ源内』で、再び注目されている平賀源内です。

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男色家ならではの繊細さと哀愁と色気

平賀源内(安田顕)が登場したのは、「べらぼう」の第2話『吉原細見「嗚呼御江戸」』です。そのとき名乗った名前は、貧家銭内(ひんかぜにない)でした。

源内先生らしい、ふざけた名前ですね。史実でも、実に多くの名前を使い分けていた源内。この頃は、まだ生活は困窮していて、ボロボロの着物を着ていました。

蔦重は、「源内を知っている」という銭内に紹介してもらいたいと頼みます。源内に自分の作る『吉原再見』の序文を書いてもらうためでした。

蔦重は、銭内が源内を紹介してもらうため吉原でもてなしますが、ひょんなことから銭内が源内だと判明し驚きます。そんな源内を花の井(小芝風花)が相手をするのですが、このとき、源内が“花の井と蔦重との関係”を尋ねたことがありましたね。

「重三が誰かに惚れるなんてござんすのかねえ。どの子も可愛いや、誰にも惚れぬ。あれはそういう男でありんすよ」

と答えた花の井。繊細で人の心に機微に鋭かった源内は、花の井の表情で、彼女が胸に秘めている蔦重への恋心を察しました。

史実では、破天荒、自信家、山師のイメージがある反面、幅広い才能や構成力で多くの人を惹きつけるひとたらしな面もあったと伝わります。

「べらぼう」では史実通りのキャラクターに、プラス、純粋で生真面目な部分や繊細かつセンシティブな面がプラスされていました。

花の井が披露する舞を眺めつつ、亡くなった恋人の役者・瀬川菊之丞(三代目・花柳寿楽)の姿を重ね懐かしむ源内。その目にみるみるうちに涙が浮かぶ場面は、多くの視聴者の胸を震わせた名シーンとして記憶に新しいところです。

「哀しく切ない色気を漂わせる、繊細な魅力を持つ平賀源内」でした。森下佳子脚本と安田顕さんという、うまい役者さんならではだったと思います。

5ページ目 源内といえば紫地に白のクモ柄「流水紋様」の羽織

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