東京・原宿の太田記念美術館で、展覧会「蔦屋重三郎と版元列伝」が開催中です。
江戸時代、浮世絵師や職人たちを統括し、企画や制作、販売を指揮したのが版元でした。とりわけ蔦屋重三郎(蔦重)は、ずば抜けた才覚で喜多川歌麿や東洲斎写楽をプロデュースし、浮世絵の黄金時代を演出するなど、浮世絵史においても大きな役割を果たしました。
蔦重が2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主役となり江戸時代の出版界が注目を集める今、浮世絵専門館である太田記念美術館でも、版元という視点から浮世絵を紹介する展覧会を開催。
本展で注目するのは、蔦重一人にとどまらず、浮世絵草創期から明治時代にいたる約230年の間に活躍した12の版元たち。
登場する版元
- 蔦屋重三郎…歌麿や写楽をプロデュース!吉原生まれの風雲児
- 鱗形屋…初期浮世絵版画をリードした、江戸根生の老舗
- 鶴屋喜右衛門…菱川師宣を激推し!京発祥の老舗
- 奥村屋…絵師であり版元。自在な商品開発で人気者に
- 西村屋与八…高級路線で一時代を築いた蔦重のライバル
- 和泉屋市兵衛…芝で活躍!商魂抜群の長寿版元
- 須原屋一統…江戸出版界のドン。多角経営で安定感抜群
- 西村源六…上方本もどんどん売る!文運東漸に寄与
- 永楽屋東四郎…名古屋出版界のホープ。『北斎漫画』がベストセラーに
- 竹内孫八…活躍はたった数年。でも広重を一流絵師に!
- 松木平吉…清親と組み明治の新しい版画表現を模索
- 秋山武右衛門…芳年一門を起用。洗練された作風に定評アリ
彼らの企画力や出版戦略により、浮世絵がどのように発展してきたのかを選りすぐりの作品とともに観覧できます。版元の眼差しを通して浮世絵の歴史を振り返る展示は、まさに当館ならではの企画といえるでしょう。
名品の影に隠された版元と絵師たちの人間ドラマにも、ぜひ触れてみてはいかが?
展覧会「蔦屋重三郎と版元列伝」は、2025年8月30日(土)~11月3日(月・祝)の期間、太田記念美術館で開催中です。
